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ランカが出演する映画の撮影の為、同行していたアルトとミハエル。

監督とスタッフによる打ち合わせを、一歩下がって聞いていたアルトは

いきなり背後から腕を掴まれ、引っ張られた。

「ミ、ミシェル?」

「しーっ!」

驚くアルトにミハエルは、口に人差し指を立てて“静かに!”とジェスチャーをする。

アルトはコクリと小さく頷き、ミハエルに引っ張られれるまま森林の中へと

入って行った。

「おい、ミシェル 何処へ行くんだよ」

「何処にも行かないさ」

ミハエルはようやくアルトの手を放し、「ここまで来ればいいか」とニッコリと柔らかい笑みを

アルトに向けた。

「どうしたんだよ。何かあったのか?」

こんな森林の中に用事があるとは思えず、アルトは周りを見渡している。

「ありありの大ありだよ」

「は?」

「こんな良いロケーションに居るんだぜ。

俺の理性がもたない……

ミハエルはアルトの腰に手を回し、自分の身体に引き寄せた。

「キスしたい」

じっとミハエルに見つめられ、視線のもって行き場所に困ったアルトは困惑する。

「え?ちょっ何言ってんだよ」

近付くミハエルの唇にあっという間に口を塞がれる。

「んっ……

突然のキスに驚くアルトに、再びミハエルは柔らかい笑みを向ける。

「ミシェル……

「もうすぐ、撮影の時間だよな」

気のせいか、ミハエルの声が弱々しく聞こえる。

「気にしてるのか?ランカとのキスシーン」

「気にしないって言ったら嘘になるな」

少し照れが入っていたのか、ミハエルは眼鏡の(つる)を指で上げると視線を落とした。

「コレも仕事のうちだから、オレは気にしてない」

はっきりとしたアルトの口調に、ミハエルは落とした視線をアルトに向ける。

「あぁ、分かってる。分かってるよ。」

ふたりはお互いの気持ちを確かめあうように、何度も触れるだけのキスを繰り返した。

「ランカをお前だと思ってやるから……

キスとキスの合間に、アルトが途切れ途切れに小さく言葉にする。

「アルト

ミハエルの両手はアルトの腰から頬に移り、アルトの両手はミハエルの背中を強く抱き

ふたりは深く口づけを交わした。

 

「ランカの人生が懸かってる大事な映画だ。頑張れよ」

澄んだミハエルの瞳にアルトは吸い込まれそうになる。

「終わったらすぐに戻るよ。ココに」

そう言いながら、アルトは拳を作りミハエルの胸を優しく叩いた。

いつだって、広い心で自分を包んでくれるミハエルのこの胸が

アルトは大好きだ。

ココに帰れるから何事にも頑張れるんだと強く思い、アルトは「行ってくる」と

少し背伸びをして、ミハエルの頬に口づけし撮影に向かった。

 

 

 

 

 

 

===TOUCH DOWN===================================================

「鳥の人」の撮影シーンを見た時に

ぼんやりと頭に浮かんだのがこの妄想・・・ドンだけミハアル!

でも、ずっと文章にしようと思いながらも、ぼや~んと頭の隅っこに居ました。

「鳥の人」の撮影にミハも来てた事にどっカーンでしたよvv

ミハはきっと撮影で、ヤキモキしてたに違いないんです。←オイッ!

かなり短いお話しでスミマセンでした・・・

                      2008年11月30日   るきと