ミハ姫日記②

 

 

 

 

 

ミシェル

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射撃訓練に姫を連れて行ったのは正解だった。
結構楽しんでくれたみたいだからよかったよ。
今度っからちゃんとライフル銃を教えてやろうと思う。
でも、流石に口開けて俺の姿を見てるときは笑ったな・・・
「何て顔してみてんだよ」って言ったら我に返ったみたいで
何でもないといいながらほっぺた真っ赤にしちゃって可愛いのなんの!
もしかして、惚れ直した?
姫のハートの的にも、ちゃんと命中してるみただな・・・俺のハートの弾は。
訓練のあと、街に出てみたんだ。
腹が減ったから、クロワッサンサンドを食った。
辛いのがダメな姫はマスタードの代わりにケチャップを沢山かけてっから
ほうばった口元が真っ赤だよ。
思わず舌でペロッて舐めてやったら、またまたほっぺたが赤くなって
「ミシェル!てめー!」なんて言ってるけど、まんざらでもなさそうだよな。
可愛い姫が見たくって、もっとからかいたくなるよ。

 

 

 

 

 

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一昨日からミシェルは大統領が何とか星を訪問するとかで、
護衛として出かけてしまった
SMSに入りたてのオレは留守番さ・・・
ミシェルはデキるパイロットだからな。悔しいけど認めるよ。
でも・・・
ミシェルのいない日々は退屈だし、なんといっても淋しい。
これ正直な気持ち。
部屋はそんなに広くはないけれど、あいつがいないだけで
冷たい空間なんだ。
気を紛らわそうと訓練も学校もいつもの倍、頑張ってみた。
それでも、夜は淋しいからミシェルのベットで眠るんだ。
ミシェルの臭いが淋しさを癒してくれるから・・・

早く帰ってこないかな・・・

 

 

 

 

ミシェル

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仕事で1週間ほど姫と離れて暮らす事になった
姫をおいていくのはとっても心配だよ
きっと姫も心配していると思う。
一緒に行きたかったから、オズマに頼んだんだけど
姫は入ったばかりのひよっ子だから、って・・・
そんな事言ったって姫はアレでも結構いい腕もってんだぜ
まぁ、オズマだってそれは分かってると思うけど
お偉いさんは新人には任せられないってとこがあるのかもな。

姫と付き合うようになってから1日だって離れた事がなかったから
正直、寂しい。
だから機体の計器の横に貼ってある姫の写真を見ながら操縦してる。
早く逢って抱きしめたいよ
でも、俺はずっと一人だったから、こんな風に人を思いながら
操縦桿を握るのも悪くないかもなって思った

 

 

 

 

 

 

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もう今年も終わりなんだな・・・
そんな日にひとりで宿舎にいるオレってどうよ?
ミシェルはまだ帰ってこないし、寂し過ぎるだろ?
仕方がないから、さっさと寝ちまおうとミシェルのベッドに潜り込んだら
いつの間にか本当に寝てしまった。
でも、オレの名を呼ぶ声が遠くから聞こえてきてうっすら眼を開けたら
眼の前にミシェルの顔が・・・
寝ぼけてるのかな?と思ってじっとみたら、やっぱりミシェルがニッコリ笑って
オレの名前を呼んでいた。
夢かと思った。でも抱きしめた感触はミシェルの身体だ。
信じられなくて信じられなくて・・・
「姫と一緒に年を越したくて急いで帰ってきたんだぜ。ちゃんと顔見せてよ」
ミシェルはそう言うけど、オレは嬉しさで涙が出てきてしまって
そんな顔見られたくなくてなかなかミシェルを見られなかったよ。

 

 

 

 

 

ミシェル

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こんなに気持ちが急く事なんか、今までなかった
早くしないと年が明けてしまう。俺は本当に焦っていた。
新しい年は絶対に姫と迎えるんだっておもってたから。
バルキリーも乗り捨てるように降り、自室に向かった。
ちょっとバフェットが気になるから、後で整備に伝えないとな・・・
自室はシンと静まり返っていて、姫はベットにいないから、え?って思ったら
上から俺の名を呼ぶ弱々しい声が聞こえた
俺のベッドで姫はいつもの緑色のアレを抱えて寝てるじゃないか!
その姿といったら、まるで女の子。かわいいったらありゃしないっ!
そのまま姫の横でずっと寝顔を見ていようか?
でも、姫に触れたい。キスしたい。澄んだ瞳を見たい。
俺は自分の理性を保つ自信ゼロだ。
とりあえず「アルト・・・」と呼んでみる。全く反応なし。
それなら・・・とそっと口づけてみた。姫の瞼がうっすら開く。反応あったか?
とたん、ガッと姫の瞳が見開いて、ガバッと上体を起こすからびっくり。
おまけにそのまま抱きついてきた姫に俺は心臓バクバク。
緑のアレは俺と姫に挟まれて苦しそうにみえた。
姫は俺の名を呼び「寂しかった」と涙を流してる。
おいおい、姫様「ただいま」くらい言わせろよ・・・

 

 

 

 

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今年はミシェルと一緒に年を越すことができた。
それも、二人で繋がったままの年越しだなんて、
自分で言うのもなんだけど、ロマンチックな年明けだった。
でも、正直諦めていたんだ。だって大統領の護衛だぜ。
大統領やお偉いさんのひと言で、年内帰れるか帰れないかが決まるんだ。
でも・・・・
去年の正月は親友としてのつきあいだったのにな・・・
そうそう去年は一緒に初詣でに行ったんだっけ。
で、オレの羽織袴姿を見て、ミシェルはビックリしてたんだよな。
オレは小さい頃から洋服より羽織袴姿の方が多くて、普段着感覚だけど
ミシェルの場合は違うもんな・・・
今年も初詣でに誘ってみようかな。

 

 

 

 

ミシェル

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もう、1月も終わるけど、正月三が日の話しをしよう。
SMSも三が日は休みをくれたんだ。
この三が日に姫は実家に戻る・・・というか連れ戻されるかと思ったけど、
そこは大丈夫だった。
あの眼力兄貴が迎えにくるかとヒヤヒヤしていたけど・・・
まぁ来たら戦うしかねぇけどな。
姫を離すわけにはいかないから。
でもそんな心配もなく三が日は二人きりですごせたから最高だったよ。
もちろん三が日中姫を抱いていたかったけど、引きこもってそればっかりって
いうのも何だからって、姫が初詣でに行こうと言い出した。
俺は着ていくもんがないと言ったら、いつものカッコでいいよって言いながら
ベッドの引き出しの奥から平たい大きな箱を取り出した姫。
それが着物だってコトはすぐに分かった。
「これ・・・着ていくのか?」
「あぁ・・・だから、少し待っててくれ」
そう言うと姫は服を脱ぎだして着物を着ようとした。
「着物は後でいいから・・・」って俺は姫の透き通る白い背中を
思いっきり抱きしめたよ。
姫は何を着てても綺麗だけど、この素肌には服や着物はただのお飾りだよ。
こんな綺麗な素肌を独り占めに出来る俺って宇宙一幸せなヤツかもな・・・

 

 

 

 

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初詣でに着物を着ようと思ったのに、
ミシェルが後ろから抱き付いてきて参ったよ。
全く、何回やれば気がすむんだよ!
こういうことには体力バカなんだよな。ミシェルは・・・
結局、出かけたのは夕方になってしまったんだ。
でも、思ったけど、ミシェルも羽織袴を着ると似合うんじゃないかな。
来年は用意しておいて二人で羽織袴で初詣でに行きたいな。
参拝を済ませると腹が減ってきた。
いいタイミングでミシェルが食事をしていこうと言い出した。
フィッシャーマンズワーフのロブスターの美味しい店を予約したって言うんだ。
え?一体いつ予約なんかしたんだよっ!

 

 

 

 

ミシェル

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振袖姿の姫を連れて歩いていると、通りすぎるヤツらは必ず振り向いた。
ちょっと自慢だけど、あんまり見るな!って言いたくもなった。
ロブスターの美味い店を予約しておいてよかったよ。
姫はいつ予約なんかしたんだって驚いていたけど、
そういう事はまかせてくれよ!
大きなロブスターの身をバターソースにつけて食べるんだけど
美味いんだぜ。
綺麗な着物を着てるくせに、豪快にロブスターの大きな身を
しゃぶるように口に運ぶ姫を見てると、ロブスターが羨ましく思ってきた俺ってどうよ?
帰ったら俺のもしゃぶるように食べて?ってそっと姫に言ったら
相変わらず真っ赤な顔して「バカやろうっ!」って怒鳴るから
周りの視線がまた姫に集中しちゃったよ・・・

 

 

 

 

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三が日の休みはあっという間だった
学校もSMSも始まりいつもの生活になった
幸いバジュラの襲撃もなく、エマージェンシーもなく平和にすごせている
それでも訓練は毎日のようにあるから、ほっとしながら空を見ることがなくて、
さすがに今日は学校の帰りに公園に寄ってみた
本当はミシェルと一緒に帰る約束をしていたんだけど、
アイツどっかいっちまって見当たらないんだ
芝生に寝転んで真上に見える空をみるのが一番好きな時間だ
本物の空をこうしてみる事ができたら、どんなに幸せだろう・・・
高い高い青く澄んだ空を見てみたい・・・そんな事を思っていたら
いつの間にか眠くなってきた。
なんだかすっごく気持ちがいい。

 

 

 

 

ミシェル

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姫と一緒に帰ろうと約束してたのに、女の子からの誘いを断っているうちに
姫がいなくなっていた。
きっと痺れをきらしたんだろうな・・・
小腹がすいたから、パンでも買って公園にでもいこうと
立ち寄ったら、姫が芝生に寝転んでるじゃないか!
なんだ、こんなところにいたのかと思った反面、嬉しくなったよ。
近付いてみると、姫は良く眠ってる。
覗き込んで寝顔をみていると、こっちまで幸せな気分になれるよ。
ほんとに姫は綺麗だよな。
吸い込まれるように俺は姫の寝顔にキスをしていた
それでも姫は眠り姫のままだった。
姫が起きるまで寝顔をみててもいいよな?

 

 

 

 

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公園の芝の上で横になって空を見ていたらいつの間にか眠っていた
眼が覚めたら、ミシェルの顔が間近にあってびっくりしたよ
おまけにそのまま有無も言わずにキスしてきた
オレは甘いあいつのやさしいキスが大好きだ
気分がよくてまた眠くなっちゃうよ
でも、そんな温かい気分もオレとミシェルの携帯がけたたましく鳴り
終了だ・・・
SMSからエマージェンシーがかかった
ミシェルはオレを優しく抱きしめると囁いた
「俺が全力でお前を守るから・・・だから一緒に帰還する」
出撃の時に必ずミシェルが言ってくれる言葉だ・・・

 

 

 

 

 

ミシェル

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どうして、こう雰囲気いい時ってジャマがはいるんだよっ!
特にこのSMSのエマージェンシーは・・・妬いてるのか?
俺達は途端に緊張の面持ちになってSMSへと戻った。
ま、それでもちゃんと姫と手をつないでねv
SMSに戻って急いでパイロットスーツに着替えた。
遅いと隊長に小言を言われそうだが、支度が出来ると
俺は姫を抱き寄せた。
こんな事は思いたくないけど、生きて帰ってこれる保障はないんだ。
悔いたくないから、必ず愛する人の温もりを感じてから宇宙(そら)へ行くと
決めているんだ。
けたたましく鳴るサイレンをバックに俺は姫に口づけた

 

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